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タオ(道)老子の哲学3

2019-12-04

こんな話がある。以下、
「老子は周王朝末期の図書官吏であった李氏が青牛に乗って西に旅し、函谷関(かんこくかん)までやってきたとき、関所の官吏、尹喜と出会い、彼の求めによって「老子」を記したとされています。そしてさらに、その老人は西に旅し、やがてインドの地で釈迦となった」

一般的には、釈迦の教えは仏教となりインドから中国へと伝わったとされている。
しかし、太古の物語として笑ってすませるのには、「老子」タオ(道)と「釈迦」の空(空観)のその本質において通じる点が多くある。老子のほうが釈迦よりも先に生まれた人であるから尚更のことだ。

「老子」のなかのテーマの一つは、どうしたら「不争」を実現できるのかがある。「不争」はけっして戦争をするなということだけではなく、日々刻々のなかで「争うな」という意味である。争わないためには、どう生きればよいのか。

「争う」心・精神は人類の生物的な本能に根差している。人類の歴史とは、まさに覇権を争う歴史でもある。国家は統合のために領土を争い、食料を争い、資源を争う。個人は安全や安心を求め争い、名誉や地位を争い、収入、学歴、体力を争う。

「老子」は争わないためには、どのように在ればよいのかを説く。
加島祥造箸「タオ・老子」から、老子全81章のなかから、再びいくつか紹介したい。

【タオ/老子】 加島祥造箸より

第十三章 たかの知れた社会なんだ

ぼくらはひとに
褒められたり貶(けな)されたりして、
びくびくしながら生きている。
自分が人にどう見られるか
いつも気にしている。しかしね
そういう自分というのは
本当の自分じゃあなくて、
社会にかかわっている自分なんだ。

もうひとつ
天と地のむこうの道に
つながる自分がある。
そういう自分にもどれば
人に嘲(あざ)けられたって褒(ほ)められたって
ふふんという顔ができる。
社会から蹴落とされるのは
怖いかもしれないけど、
タオから見れば
社会だって変わっていく。だから
大きなタオの働きを少しでも感じたければ
くよくよしなくなるんだ。
たかの知れた自分だけど
社会だって、
たかの知れた社会なんだ。

もっと大きなタオのライフに
つながっている自分こそ大切なんだ。
そのほうの自分を愛するようになれば
世間からちょっとパンチを食らったって
平気になるのさ。だって
タオに愛されている自分は
世間を気にしてびくつく自分とは
別の自分だからね。

社会の駒のひとつである自分は
いつもあちこち突き飛ばされて
前のめりに走ってるけれど
そんな自分とは
違う自分がいると知ってほしいんだ。

第十六章 静けさに帰る

虚(うつろ)とは
受け容れる能力を言うんだ。
目に見えない大いなる流れを
受け容れるには
虚ろで、
静かな心でいることだ。

静で空虚な心には、
いままで映らなかったイメージが見えてくる。
萬物は
生まれ、育ち、活動するが
すべて元の根に帰ってゆく。
それは、静けさにもどることだ。
水の行く先は―海
草木の行く先は―大地
いずれも静かなところだ。
すべてのものは大いなる流れに従って
定めのところに帰る。
(そして、おお、
再び蘇(よみがえ)るのを待つ。)

それを知ることが智慧であり
知らずに騒ぐことが悩みの種をつくる。
いずれはあの静けさに帰り
甦るのを待つと知ったら
心だって広くなくなるじゃないか。
心が広くなれば
悠々とした態度になるじゃないか。

そうなれば、時には
空を仰いで、
天と話す気になるじゃないか。
天と地をめぐって動く命の流れを
静かに受け入れてごらん、
自分の身の上でくよくよするなんて
ちょっと馬鹿らしくなるよ。

第十九章 本当の「自分」を知ること

前に言ったように
かつては聖人ぶって知恵を説く人なんか
居なくたって、
人びとは
ゆったり豊かに暮らしていたし、
道徳や正義をふりかざして脅さなくとも
みんな慈しみあっていた。
頭を絞って利益ばかり追いかけなかったら
ずるい銀行家も狂暴な強盗も出なかった。

いや、知恵や道徳を捨てて
太古の昔にもどれと
言うわけじゃないがね、
いまも働くタオの
大切な生き方のエッセンスだけは
言っておきたい

自分のなかにある素朴な素質を
何よりも大事にすること―
自分のなかにある本性は、もともと、
我を張ったり、
欲張ったりしないもんだ、と知ること―
まあ、これだけは、
時おり、思いおこしてほしんだ。

「タオ・老子」加島祥造箸から引用



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