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タオ・老荘思想

2019-09-06

「タオ」とは「道」のことで、中国ではdaoまたはtaoと表記される。このdao(タオ)は日本語に入って道(ドウ)と発音され、柔道、茶道、華道などに転用される。
英語圏ではTaoと書かれるとそれは「老子の教える道」と「道教」の意味だけに使われる。
Taoはドイツでもフランスでも同様に使われ、Zen(禅)とともに国際語となっている。

老子は2500年前の人とされるが同じような時代に中国には孔子、インドには釈迦、ギリシャではソクラテス、プラトンがいたことは偶然ではないだろう。彼らは哲学者であり同時に宗教家でもあった。人類が自身の存在や生きる意味を考え始めた時期であったということもできる。ちなみに中国の伝統的な三大宗教は道教、仏教、儒教である。

老荘思想は老子を始祖として、荘子に受け継がれていく。老子、荘子ともに中国の春秋戦国時代にあらわれ諸子(孔子、老子、荘子、墨子、孟子、荀子など)百家(儒家、道家、墨家、名家、法家など)と呼ばれるなかの人である。孔子の儒教は東アジア各国に伝わり今も影響を持つ。この時代から遅れてインドから伝わった仏教は一時中国において儒教を圧倒するほどの勢力になった。それに比べると道教は日本をはじめ東アジアでの存在感は薄い。

しかし、厳密には老荘思想は、仏教が始めて中国に伝えられたとき、その仲介者としてその役割を演じた。特に仏教のなかで最も中国色の強い禅宗と浄土教は、その成立の過程において荘子の影響を受けた強く受けている。また、古い神仙説や民間信仰を組織化して成立した道教も、その教説の一部に老荘思想を取り入れ、これによって宗教としての体裁を整えることに成功した。※老荘思想と道教の直接のつながりはない

「学問と芸術の進歩は、はたして習俗を純化することに役立ったのであろうか」このディジョンのアカデミーの懸賞論文の課題を初めて目にしたとき、ルソーは天啓を受けたような衝撃を受け、錯乱といってよいほどの興奮をおぼえた。この回心がその後のルソーの「自然に帰れ」という思想の方向を決定したという。それまでの十八世紀の思想家の多くは、文明の直線的な進歩を無条件に信じていたのである。近代文明を輸入という形で受け取った日本では、いまだに十八世紀の進歩の信仰が根強く残っている。

人間は動物ではないかもしれないが、神でもない。その不完全な人間が作り出している文明も完全であろうはずがない。その自覚を欠いた文明の独走は、やがて人類そのものを破滅に導く可能性を秘めている。このような文明の反省が、「自然に帰れ」という主張の背景にある。この自然とは、文明を白紙の状態に帰することであり、文明の原点に立ち帰ることにほかならない。東洋でもっとも古く「自然に帰れ」を唱えたのが中国にあらわれた老子、荘子をはじめとする道家の思想家たちである。

儒教の祖、孔子の念願は春秋時代の無政府状態を克服して、繁栄した周の初期の秩序ある社会を回復させることであった。そのためには、何よりも力による政治を排して、道徳による政治を実現しなければならないと考えた。周の初期には家族道徳が政治の根本精神となり、その支配は伝統的な習俗でもある礼ももとづいて行われていた。このような道徳と礼が失われたところに、現在の乱世が生まれたと考えたのである。それは周の初に帰るという意味では復古主義であったが、現状に正しい秩序をもたらそうとする点では理想主義であった。

ところが、孔子の後に生まれた老子は、これとは全く別の見方をした。周の王室の支配が衰えて群雄割拠の乱世をもたらしたのは、ほかでもなく周の支配原理そのものであったと考える。周の支配原理は、孔子のいうように、道徳と習俗に基盤をおいたものであったが、この人為こそ、人間を退廃と堕落に導いた根本的な原因にほかならないと見たのである。道徳と礼義、またそれを学びとるための学問や知識、ひとくちにいえば文化そのものが諸悪の根源なのである。このような文化のすべてを否定し、自然に帰れというのが老子の主張であった。

人間社会の仕組み、理想をみた孔子、森羅万象、宇宙の法則のままに生きようとして老子、荘子という見つめる対照の違いであり、対局的な立場を当時は主張したようだ。孔子の儒教は東アジア一帯に今でも影響を与えている。韓国、日本などはその代表国である。日本においては国家主義、親兄弟(親孝行)、年長者を敬う(先輩後輩)などの名残は孔子の儒教による影響である。一方、西欧人が知的興味を示したのは、タオ(老子思想)、禅(仏教の宗派ではあるが、現代の研究者によればほぼ荘子であるといわれる)であるとるという点は面白いことだ。

参考図書 「老子・荘子」~森三樹三郎~   「タオ・老子」~加島祥造~



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