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タオ(道)老子の哲学6

2020-02-01

老子は、この世界に争いが絶えないのは、タオ(道)が失われているからだと説く。
タオ「道」とは生命の法則のことである。生命法則はいつも私たちへ働きかけている。
私たちを生かしているは生命の法則である。けっして、人間が作り出した社会や文化ではない。

太極図

これは、太極図である双魚図ともよばれる。白い魚と黒い魚がいる。このふたつを分けているものは白い魚の線でもなければ黒い魚の線でもない。互いがそこにあることによって存在そのものが明示される。
これは生命の法則を我々が認識できる一つの形である。黒がわたしで白が空気だとみることもできる。生命と空気は分ち難い。

西洋の思想は二元論が主流である。神と悪魔とか、主観と客観、表と裏、アルゴリズムも同様である。2で割り切れる発想で成り立つ。社会の仕組みも、そのように設計されているようにみえる。それは、つねにどちらかとしてのみ存在することである。
しかし、老子の考えによれば「無は同時に有である」「神は悪魔がいなければ存在しない」
という合一の思想である。

つまり、これが絶対だという価値観がない。これが老子の思想の最も偉大な点である。また、生命とはそのような法則の元に存在する。地球上におけるすべての生命は単独では存在せず、生命は見えない鎖で分ち難く連なっている。
はたして人間だけが、その法則の例外ということがあり得ようか。科学の誕生によって測れるもの、つまり量しか価値を認めない人間社会は、測れないもの、つまり質を見失った。

老子の教えに気づき導かれる人は幸いである。

引き続いて、加島祥造箸「タオ・老子」から、老子全81章のなかから、再びいくつか紹介したい。

【タオ/老子】 加島祥造箸より

第五十四章 まずは君自身が「自由」であること

タオのエネルギーが、
その人のなかに植えこまれると、
ちょっとやそっと揺さぶれられたって抜けない。
あのパワーをしっかり抱いた人は、
他人や社会にひきずり廻されない。そして
その命の活力は、
遠く子孫にまで伝わってゆく。
だってそれは大自然のエネルギーだから。

これを身につけたとき、君は
いろんな束縛から自由になる。
すると君の家族も、きっと、
この柔らかな活力を持つようになる。
村だって同じだよ。もし、
こういう家族がふえれば、村はじっくり落ち着いて
いつまでもつづくものになるだろう。
国家だってそうさ。
国が大自然の力を貴べば、
国は豊かになるだろう。そして
こういう豊かさのゆきわたる世界が
やがては創られるべきなんだ。

だから、大切なのは
自分個人のなかに、
タオの活力を据えることだ。ただしそれが、
修身斉家治国平天下につながる
なんてことじゃないんだ。
各人がただ、自分のなかの活力を思い
それを大切にすることでいいんだ。
それがひとつの家に
じっと涌きはじめるのを思えばいい。
ひとつの村に、
ひとつの国に、
どれほど広がってゆくのかを、思えばいい。
そうすれば、
全世界のほんとの姿が見えてくる―
いつかゆきわたるにちがいない静かな平和。
それはこういう目でみることで
人の心に描きだされるんだよ。

第七十八章 世界の王者

すでに、
柔らかで弱いものは命だと言ったが、
まことに
水ほど柔らかで弱々しいものはないよ。
でもね、
ひとたび水が
固くて強いものを攻めるとなると
どんな岩でも崖でもしまいに
崩して、こなごなにしてしまう。
その点では、他の
どんなものも及ばない力を発揮する。
これで分かるように
弱いものが強いものに勝ち
やわらかいものが固いものに勝つんだ。

このことは、
言われてみれば誰も頷くんだがね、
さて実行するとなると、まず
ごく少ない。

こんな柔らかな力のものは
ゆっくり広くゆきわたる―。
たとえば川が流れくだるようにね。
そして低く低くゆきながら
汚いものを受け入れて、
平然としている。こうなれば
その人がいかにすぐれた力の者か、
誰にでもわかるはずだ。

こういう柔らかな力の者が
ひとつの国の惨めさや悲しみを
すっかり受け入れて
平然としていれば
その人こそ
国の本当のリーダーと言えるじゃないか。
全世界の王者と言ってもいい。

柔らかでしなやかで弱々しいものが
世界の王者なんて言ったって、
世の中の人は、
変なことを言うとしか思うまい。
だがね、
本当言葉というものは、しばしば
世論とは正反対を言うように響くのさ。

第八十一章 道につながる人

本当の言葉というのは
甘い響きのものではない。
甘い響きの言葉は
本当の言葉ではない。
腹のある人は
あまり喋らんものだし
喋りまくる人は腹がないんだ。
真に賢い人とは
知識を漁って広く知る者じゃない。
広い知識を自慢する者は、
真に賢い人ではない。
道によくつながる人は
蓄めたり積んだりしない、そして
いつも他人の為にしようとする。
そうすることによって
ますます自分が豊かになる。
内に持つものを
すっかり他人に与えようとする、
そうすることで
ますます多く与えられる。というのも
こうするのが天の働きだからであって
タオの働きは、
他人に益を与えるけれど、害はしない。
この働きを知る人は、
だから行為する時、
争わないのだよ。
争わないでするのだよ。

「タオ・老子」加島祥造箸から引用

参考図書

「タオ・老子」加島祥造
「いのちの道」丸山瑛示
「老子・荘子」森三樹三郎



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