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釈迦の教えと日本における仏教の乖離2(密教系、浄土系)

2019-06-15

釈迦の死後100年頃、仏教教団において第二結集(仏教の経・論・律をまとめる編集会議)の後に大衆部(大乗)と上座部(小乗)の2つに分裂した。この二つは、大乗は衆生を救うこと(利他)を、小乗は自ら覚りを得ること(自利)という宗教目的の違いにある。

日本における仏教の勢力の中で、古い歴史を持ち現在も力を持つ密教は、その大乗仏教の中の秘密経を指し秘密仏教ともいわれる。密教成立の背景には、インド仏教後期においてヒンドゥー教の隆盛によって仏教が圧迫される社会情勢があった。ヒンドゥー教の要素を仏教に取り込むことで仏教の再興を図ったのだ。

密教に呪術的な要素があるのは、初期の形成段階で祭祀宗教であるバラモン教(古代ヒンドゥー教)のマントラに影響を受けて各仏尊の真言・曼荼尼を唱えることで現世利益を心願成就するものであった。中期には、世尊として釈迦が説法する形式をとる大乗経典とは異なり大日如来(本尊)が説法する形で密教経典が編纂されていった。

日本に密教が紹介されたのは最澄によってだが、最澄が唐で主に学んだのは天台教学であったため、唐の密教の拠点で本格的に修行した空海が伝えたとされる。ちなみに、当時も今も人間は変わらないが皇族や貴族は教えよりも現世利益を重視する密教や来世での極楽浄土への生まれ変わりを約束する浄土教(念仏)に関心を寄せた。

日本の密教は空海の真言宗(東密)即身成仏・鎮護国家と、最澄によって創始され、円仁、円珍、安然によって完成された天台宗(台密)四宗相承(天台・密教・戒律・禅)の二つがある。そして平安時代から鎌倉時代にかけての「鎌倉新仏教」の祖師たち法然、日蓮、栄西は、いずれも天台宗比叡山に学び、その後に自派を興している。

日本における伝統仏教のなかで信徒数が最も多い浄土宗、浄土真宗の神髄は、仏が統治する浄土に凡夫が往き生まれ変わること(往生)ができるとする浄土思想にある。ここで指す仏は釈迦ではない。大乗仏教には釈迦以外の仏(如来)が多数存在する。そのため仏ごとの浄土が考えられたが、浄土宗、浄土真宗における浄土思想となっているのは阿弥陀如来(阿弥陀仏)である。

浄土思想は、「覚りの宗教」である仏教を一信教の構造を持つ「救いの宗教」に変容させた。これはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の思想である。「救いの宗教」とは、絶対存在である神が有限である人間に手を差し伸べてくれるというものだ。
世界の古代を見渡せば日本の神々、ヒンドゥー教の神々、ギリシャの神々、ネイティブアメリカンの神々等々、土着の信仰は、そのほとんどが多神教である。

一信教と多神教を比べると求心力は一信教のほうが強い。その分、一信教は独善的、排他的になりやすい。信仰を同じくする者でも党派的な行動を取る傾向が強い。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は同じ神を信奉している聖地エルサレムもこの三つの宗教は同じ地である。日本の仏教界でも、浄土系(浄土宗、浄土真宗)が最も信徒が多く、それに次ぐのは日蓮宗だがいずれもその傾向が強い。創価学会が日蓮宗と袂を分けているのは周知のことだ。



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